概要
2025年7月、Amazonの米国におけるGoogleショッピング広告のインプレッションシェアは、競合小売業者の中央値に対し60%でしたが、わずか2日後には0%になりました。この撤退は国際市場でも見られましたが、Amazonは1ヶ月以内にすべての国際市場で広告を再開しました。
しかし、米国市場は唯一の例外として残りました。Tinuitiの2026年第2四半期デジタル広告ベンチマークレポートによると、1年が経過した現在も、Amazonの米国におけるGoogleショッピング広告のインプレッションシェアは0%のままです。AmazonもGoogleもこの決定について公式な説明はしていません。
当初、この撤退は競合小売業者にとってCPCの低下と利用可能なインプレッションの増加をもたらすと予測されました。しかし、1年間のデータを見ると、市場は急速に他の小売業者で埋められ、Amazonの米国での不在は一時的な停止ではないことが示されています。
初期の業界反応では、Smarter Ecommerceがこの撤退を「より安価なクリックと新規顧客を獲得するゴールドラッシュ」と表現し、競合他社が低コストでトラフィックを獲得できるという見方が支配的でした。2020年のAmazonの一時的な広告停止時にCPCが20%減少した経験も、こうした予測を後押ししました。
しかし、Optmyzrは、CPC、インプレッションシェア、支出、コンバージョンを監視するようアドバイスし、一部のカテゴリーではCPCが低下する可能性がある一方で、他のカテゴリーでは競合他社が積極的に入札を強める可能性を指摘するなど、より慎重な見方を示していました。
Tinuitiの2025年第3四半期ベンチマークレポートによると、Amazon撤退後のGoogleショッピングの支出は前年比14%増、クリック数は15%増でしたが、平均CPCは1%減に留まりました。2020年のような急激なCPC低下は見られず、他の大手小売業者が迅速に空いたオークションに参入したため、効果は控えめでした。
Temu、Shein、Walmartといった企業がこの空白の一部を埋めました。Smarter Ecommerceのデータでは、ヨーロッパでも競合としてTemuに遭遇する広告主の割合が60%から75%に増加しました。インプレッションは特定の代替企業に集中するのではなく、複数の大規模な広告主に分散しました。
国際市場でのAmazonの迅速な復帰と米国での継続的な不在は、Amazonが米国市場でインクリメンタリティテストを実施している可能性を示唆しています。Tinuitiの研究責任者であるマーク・バラード氏は、Googleショッピングへの投資が追加的な売上を生み出しているかどうかをAmazonがテストしているのではないかと示唆しました。
Amazonは多くの買い物客が直接サイトやアプリを訪れるため、Googleショッピング広告を停止することで、総売上、直接トラフィック、アプリ活動、顧客獲得への影響をより明確に測定できる立場にあります。この仮説は、撤退の期間と地理的な分離によって、さらに説得力が増しています。
解説
Amazonが1年以上にわたり米国でのGoogleショッピング広告から撤退し続けていることは、PPCマーケターにとって多くの重要な教訓を提供します。特に注目すべきは、大規模な広告主が市場から姿を消した後の動向と、広告のインクリメンタリティ(増分効果)の測定の重要性です。
まず、市場の動向についてです。Amazonのような巨大なプレイヤーが撤退しても、CPCが劇的に低下することは稀であり、市場はすぐにTemu、Shein、Walmartなどの他の大規模小売業者によって埋められます。これは、デジタル広告市場のダイナミックさと、需給バランスの迅速な再調整能力を示しています。競合他社の撤退を単純なCPC低下の機会と捉えるのではなく、市場全体のインプレッションの質や、それがもたらすコンバージョン価値を総合的に評価する視点が不可欠です。
次に、Amazonの行動から読み取れる最も重要な点は、インクリメンタリティテストの可能性です。Amazonが長期間にわたり、特定の地域でのGoogleショッピング広告を停止し続けているのは、その広告が実際に「純粋な追加売上(インクリメンタルセールス)」を生み出しているのかどうかを検証するためだと考えられます。多くの企業はROAS(広告費用対効果)などのプラットフォーム指標を重視しますが、Amazonはさらに踏み込んで、広告がなければ得られなかったであろう売上を測定しようとしているわけです。
PPCマーケターは、この事例から以下の実践的な教訓を得るべきです。
市場変化への迅速な対応力: 競合の動きを常に監視し、予算配分や入札戦略を柔軟に調整できる体制を整えることが重要です。事前に予算範囲や承認プロセスを定義しておくことで、機会を逃さずに対応できます。
真の事業貢献を測る指標の採用: CPCやインプレッションシェアだけでなく、コンバージョン価値、新規顧客獲得数、貢献利益率、商品レベルのパフォーマンスなど、ビジネスの根幹に直結する指標で広告効果を評価する必要があります。
インクリメンタリティテストの実施: Amazonのように大規模な停止は困難ですが、特定の地域、製品カテゴリ、オーディエンスグループなどでテストとコントロールグループを設定し、広告がもたらす増分効果を測定すべきです。テストの際には、許容可能な収益損失、意思決定基準、テスト期間、早期終了条件などを明確にし、経営層や他部門と合意形成することが成功の鍵となります。
Amazonのブランド認知度や顧客ロイヤルティは特殊であるため、彼らの結果をそのまま自社に適用することはできません。しかし、広告が本当に事業にどれだけ貢献しているのかを深く掘り下げて測定するという姿勢は、すべてのPPCマーケターが持つべきです。自社の顧客行動と経済性を踏まえた上で、インクリメンタルバリュー(増分価値)を定義し、それを測定する準備をすることが、今後の広告戦略において極めて重要となるでしょう。
- 掲載元: Search engine journal
- 公開日: 2026-07-28T12:00:43+00:00

Amazon Left US Google Shopping A Year Ago & Never Came Back via @sejournal, @brookeosmundson