概要
AI調査会社Clovion AIの新しい研究「Surviving the AIファネル」のドラフト版に、初期データに誤りがあったことが明らかになりました。検証済みの矛盾の数は33件ではなく330件、調査対象ブランド数は204ではなく2,040でした。
この研究では、Claude、ChatGPT、Geminiの3つのAIアシスタントを用いて、36のB2Bソフトウェアおよびフィンテックカテゴリで69,120件の複数ターンの会話を行いました。最初の質問(例:「最適なCRMツールは?」)と、その後の具体的なフォローアップ質問をシミュレートしました。
同じ質問を繰り返した場合、推奨リストの90%が維持されました。しかし、「小規模チーム向け」といった一般的な買い手の詳細を追加するだけで、推奨ブランドのリストは28%しか維持されませんでした。つまり、最初の回答で推奨されたブランドの62%が、次の質問で消えてしまったのです。
この結果は、AIのリストが不安定なのではなく、買い手の具体的なニーズに対して応答性が高いことを示しています。AIモデルは、ブランドがどのようなユーザー向けであるかを判断すると、それに応じて推奨を変更します。
330件の矛盾の内訳を見ると、各AIモデルには特徴があります。Claudeはブランドの機能を過小評価することが160回、過大評価が10回でした。ChatGPTは過小評価が70回で過大評価はありませんでした。
一方でGeminiは、過大評価が80回、過小評価が30回と、逆の傾向を示しました。Clovionの未発表の研究によると、Geminiはマーケティング資料や動画に、ClaudeやChatGPTはドキュメントや製品ページに依存する傾向があるため、このような違いが生じる可能性があります。
AIアシスタントによる製品の誤情報の方向性は、提示されているコンテンツの種類とそれがどこにあるかに左右される可能性があります。これは、検索ランキングと製品の正確な説明という2つの問題が、AIとの対話においては同じ問題となっていることを示すものです。
解説
今回の研究の冒頭で明かされた「桁間違い」の訂正は、データやレポートを読む際に、数字の正確性を深く検証することの重要性を浮き彫りにしています。表面的な情報だけでなく、その背後にあるデータの根拠を問う姿勢が不可欠です。
AIによるブランド推奨は、最初の回答だけで判断すべきではありません。買い手の具体的な質問によって、推奨リストが大きく変化するという事実は、AIにおける可視性を測る際には会話全体の追跡が必須であることを示唆しています。
現実の買い手が投げかけるであろうフォローアップ質問を想定し、それらに対するAIの応答をモニタリングすることで、より信頼性の高いAI可視性の測定が可能になります。
AIアシスタントのブランド認識を修正するには、モデルごとに対応する必要があります。コンテンツの変更がClaude、ChatGPT、Gemini全てに同時に影響するわけではないためです。
まず、事実の誤りを修正し、次にビジネスパイプラインにとって最も重要なセグメント適合性の組み合わせに対処することが推奨されます。個々のアシスタントに対し、複数回のテストを通じて効果を確認することが重要です。
今回の研究が示すように、AIの「知覚」がブランド推奨に強く影響するものの、それが直接的な「原因」であるとは断定できないという正直な見解は、AIが何を「認識」しているかだけでなく、ブランド自体の現実世界でのポジショニングが重要であることを示唆しています。
AIのブランド認知度を向上させるには、単にキーワードを最適化するだけでなく、製品ドキュメント、マーケティング資料、ウェブサイトコンテンツ全体で一貫性のある正確な情報を提供することが、どのモデルに推奨されるか、どのように説明されるかを左右するコンテンツ戦略の鍵となります。
最後に、いかなるAI研究の数値であっても、その情報源を辿り、計算が正確であるかを確認する習慣を身につけるべきです。ヘッドラインの数字を鵜呑みにせず、人間による監視と検証を怠らないことが、AI時代のSEOやブランド戦略で成功するための重要な教訓となります。
- 掲載元: Search engine journal
- 公開日: 2026-07-07T11:00:06+00:00
