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ChatGPTが情報源をどう選択するか:ネットワークトラフィック解析による知見

概要

この記事は、ChatGPTがどのような情報源を選択し、引用し、無視するかを、その出力ではなくネットワークトラフィックを直接解析することで明らかにした研究です。これは大規模な出力分析とは異なり、AIエンジンの内部的な動作メカニズムに焦点を当てています。

調査は個人のProアカウントと少数のクエリに基づいているため、構造的な発見(高確度)と頻度の観察(方向性のみ)を区別しています。

ChatGPTは、ウェブ検索結果を「result_source」というフィールドで分類しています。その値は主に以下の4つです。

  • serp: 標準的なオープンウェブ(ニュースサイトなど)。

  • labrador: 既存の信頼できる出版社(Reuters、Wikipediaなど)の許可リスト。ライセンス契約に基づくと考えられる階層です。

  • bright: 商業用ウェブスクレイパーのBright Data。ショッピング、金融、天気などで多く見られます。

  • oxylabs: ライバルスクレイパーのOxylabs。地域やローカルのニュースに特化しています。

主にbrightoxylabsがウェブ情報の大部分を収集しており、ユーザーは基本的にこのスクレイピング層で競合することになります。

ChatGPTは検索を実行する前に、クエリを「turn_use_case」というフィールドで分類します。これにはinstant searchshoppingtextlocalthinkingimage generationがあります。特に重要なのはtextで、この場合、ChatGPTはウェブ検索を行わず、自身のトレーニングデータから回答を生成します。例えば「パンクしたタイヤの直し方」や「タイプ2糖尿病の最新治療ガイドライン」といった質問がこれに該当し、E-E-A-Tが重視されるような機微な情報でもウェブ検索が行われないケースがあるため注意が必要です。

複雑な質問(例:製品比較)の場合、ChatGPTは数十ものサブクエリを発行します。これにはsite:検索で特定のベンダーの価格ページを直接調べることや、価格を推測し、その後に検索して確認するといった挙動が含まれます。また、最初に指定されていないツールについても調査を広げる傾向があります。

情報源の扱いには「Fetched(取得)」「Cited(引用)」「Mentioned(言及)」の3つの異なる結果があります。

  • Fetchedはモデルがページをコンテキストに読み込むことですが、ユーザーには見えません。

  • Citedは、特定の文章のソースとしてページが引用されることです。

  • Mentionedは、ブランド名が回答中に表示されるが、主張のソースではない場合です。

RedditのようなテキストベースのコンテンツはYouTubeのような動画(メタデータしか取得されないため)よりも引用される可能性が高いことが示されています。引用は特定の文章に結びつき、ドメインごとに重複排除されるため、量よりも質が重要です。

ChatGPTの思考モデルは、JavaScriptによって価格などの重要な情報が隠されているページを読み取れない場合、そのページのデータを無視し、G2のような第三者の情報源を引用すると自ら説明しています。また、ランキングロジックはサーバーサイドにあり、ユーザーのブラウザからは見えません。

パーソナライゼーションも存在し、過去の会話に基づいて回答が生成されることがあります。また、ローカル検索は結果が2つに制限される設定があることも示されています。本研究は限定的な範囲ですが、ブラウザのDevToolsを使うことで誰でも同様の調査を行うことが可能です。

解説

この研究は、ChatGPTがどのように情報源を選んでいるのか、そのブラックボックス的な部分をネットワークトラフィックという技術的な視点から解き明かした非常に貴重なものです。日本のSEOやコンテンツ制作者にとっても、今後のAI時代におけるウェブサイトのあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

最も重要なポイントは、AIに「読みやすい」コンテンツを提供することです。記事で繰り返し強調されているように、価格や仕様などの重要なファクトは、プレーンなHTMLテキストで提供し、JavaScriptによる動的な読み込みや画像の中への埋め込みは避けるべきです。AIはページを直接読み取り、解析できない場合はその情報を取得できません。これはSEOにおけるクローラビリティの重要性と全く同じ文脈で捉えることができますが、より厳格な読み取り能力が求められていると言えるでしょう。

また、ChatGPTがクエリを「text」と判断した場合、ウェブ検索を行わずにトレーニングデータから回答を生成するという事実は、コンテンツ戦略に大きな影響を与えます。もしターゲットとするクエリがこれに該当する場合、どんなに質の高いページを作成しても直接的な言及は期待できません。この場合は、Common Crawlのようなクローラにサイトを適切に認識させ、将来的なトレーニングデータへの組み込みを目指す、あるいはブランド認知度や権威性を高めるといった、より長期的な視点での戦略が必要になります。

第三者からの言及やレビューの重要性も浮き彫りになりました。ChatGPTは公式ページが解析できない場合、G2のようなレビューサイトを情報源として引用します。日本においては、価格.com、Amazonレビュー、Yahoo!知恵袋、あるいは業界特化のレビューサイトなどがこれに相当する可能性があり、これらのプラットフォームでのポジティブな評価や言及を増やすことが、AIからの「おすすめ」を獲得する上で効果的であると考えられます。

さらに、「Fetched」「Cited」「Mentioned」の違いを理解することも重要です。単にウェブサイトが「取得」されただけでは、ユーザーに「引用」や「言及」として表示されるとは限りません。特に「引用」されるためには、テキストベースで明確な情報を提供し、特定の主張に対する最も適切な裏付けとなる必要があります。動画コンテンツの場合、メタデータだけでなくテキストトランスクリプトの提供なども検討すべきかもしれません。また、ドメインごとの重複排除を考慮し、一つの主張に対して最も強力な1ページを用意するといった、質を重視したコンテンツ戦略が求められます。

最後に、本研究は限られた条件下での分析ですが、DevToolsを使って自身のサイトがChatGPTにどのように認識されているかを実際に確認できる点は非常に実践的です。自社のサイトがsite:検索に耐えうるか、重要な情報がAIにとって「読みやすい」形式になっているかを定期的にチェックすることで、AIからの露出機会を最大化できるでしょう。これは、従来のGoogle SEOだけでなく、AI SEOの観点からも不可欠な作業となるはずです。


  • 掲載元: Search engine journal
  • 公開日: 2026-06-30T13:30:23+00:00

How ChatGPT Actually Picks Sources (I Read The Network Traffic, Not The Outputs) via @sejournal, @suganthan