概要
Googleは最近、AIレポートを公開し、さらに競争・市場庁(CMA)がパブリッシャーのコンテンツ利用に関する管理権と交渉力を強化するための措置を発表しました。これは世界初の試みであり、正しい方向への一歩と評価されています。
パブリッシャーはAI Overviews(AIOs)によるコンテンツの「ファインチューニング」からオプトアウトできますが、これが大きな影響力を持つためには大規模な実施が必要です。また、パブリッシャーやクリエイターがGoogle検索で自身の作品を紹介し、ユーザーにフォローされやすくする検索プロフィールも開始されました。これは検索の未来において非常に重要な要素です。
ブランドや個人の周りにコネクションを築くエンティティSEOはこれまで以上に重要になっています。曖昧さを避け、複数の場所で本物の人物によるプロフィールを構築する必要があります。
Googleの財務状況は非常に好調で、2025年の総収益は4,028億ドルに達し、史上初の4,000億ドル超えを記録しました。Google検索&その他、Googleサブスクリプション、プラットフォーム&デバイス、Google Cloud、YouTubeといった主要セグメント全てで大幅な成長が見られます。
検索は依然としてGoogleの最大の収益源ですが、ユーザーをGoogleのエコシステムに留めるゼロクリック検索の増加は、広告ビジネスモデルにとって有利に働いています。AI Overviews(AIOs)によってPPC広告のCTRが低下し、コストが増加した時期もありましたが、現在は安定傾向にあります。
Googleのサブスクリプションベースの製品は、非クラウド部門で最も急成長しており、Google OneやYouTube Premiumの普及により、サービス全体の購読者数は3億2,500万人を超えました。これは広告収入への依存度を減らし、オープンウェブの重要性を相対的に低下させる、Googleにとっての並行した収益源となっています。また、GoogleはAI企業Anthropicにこれまでに30億ドルを投資し、さらに400億ドルの追加投資をコミットしています。
筆者は、AI Modeが多くのユーザーにとってデフォルトの検索体験になるだろうと予測しています。会話型インターフェースはユーザーに好評であり、広告の収益化と運用コストが解決されれば、より積極的に展開されると見ています。実際、AI Modeの利用率は米国で2.5倍、EUとUKでは約4倍に急増しました。
しかし、現時点での全体的なシェアはまだ低く、テキスト生成には既存ソースからの抽出よりも約30倍のエネルギーコストがかかるなど、AI Modeは計算コストが高く、収益化が難しい側面があります。また、高齢層など特定のユーザー層がLLMを利用しない可能性も指摘されています。
AI Overviews(AIOs)はトップニュースブロックを置き換えることはありません。速報性の高いニュースはAIに対して耐性があり、独自のデータや専門家による意見など「真に明白な価値」を提供するコンテンツは依然として重要です。一方、情報クエリ、特に時事性が薄れたり、恒常的な情報を求めるクエリではAI Overviewsの表示割合が最も高くなっています。
Google Discoverは、ユーザーの類似性に基づいてストーリーを展開する「コホート駆動型」のアプローチが強みです。アルゴリズムフィードを通じてユーザーを検索に引き込み、ユーザーが意識していなかった偶発的なコンテンツを表示させることで、クリックを促す大きな可能性を秘めています。
将来のSERPは多様性が特徴となり、深いパーソナライゼーション、AI搭載スナップショット、ショッピング、マップパック、PAAセクション、Discoverのような記事カード、レビュー、トップニュース、そして従来の10個の青いリンクなど、多様な要素で構成されると予測されます。
パブリッシャーは、売上や購読、広告収入だけでなく、ニュースレター登録、内部リンククリック、オーディエンス維持、AIシステムでの可視性など、より広範な「価値」に焦点を当てる必要があります。ゼロクリックの世界に適したKPIを設定することが不可欠です。
Googleの他の成功した製品がサブスクリプションモデルを基盤としていることから、AI Modeや他のAI製品を一つのサブスクリプションにバンドルする可能性が指摘されています。AIのトークンコストが増加しており、AI Modeの広告モデルでの収益化が難しい可能性があるため、広告とサブスクリプションのハイブリッドモデルが最善の道となるかもしれません。
解説
CMAによる規制は、Googleとパブリッシャー間の力関係に変化をもたらす可能性を示唆しています。コンテンツの利用に関して主体性を持てることは、パブリッシャーにとって大きな進歩と言えるでしょう。
検索プロフィールの導入は、パブリッシャーやクリエイターがGoogleのプラットフォーム上で自身のブランドを確立し、直接読者とのエンゲージメントを高めるための重要な機能です。今後、エンティティSEOの重要性はますます高まり、コンテンツ作成者は自身の専門性やブランドを「エンティティ」としてGoogleに認識させるよう努める必要があります。
Googleのサブスクリプション事業の成長は、同社が広告モデル以外の収益源を強化していることを明確に示しています。これは、将来的にAI Modeのような計算コストの高いサービスを収益化するための布石となる可能性が高いでしょう。Anthropicへの巨額投資も、GoogleのAI技術の発展と製品展開に不可欠な要素です。
AI Modeの急速な利用増加は、ユーザーが新しい検索体験に高い関心を持っていることを示唆しています。しかし、現状ではAI Modeの運用コストは高く、広告モデルでの収益化が難しいという課題があります。Googleがこれをどのように解決するかが、今後のデフォルト化の鍵となるでしょう。
コンテンツ作成者は、ユーザーがAIで解決できる情報と、人間的な判断や詳細な調査が必要な情報を見極め、それぞれの提供方法を検討することが求められます。Googleがユーザーの意図をより正確に把握するようになるため、コンテンツは「検索意図」に深く合致するよう最適化されるべきです。
速報性の高いニュースがAI Overviewsの影響を受けにくいという点は、パブリッシャーにとってポジティブな情報です。LLMでは生成が難しい、信頼性のある専門家による意見や独自のリサーチ、速報性の高い情報に特化することで、AIが提供する情報との差別化を図り、引き続きクリックを獲得できる可能性が高まります。
Google Discoverの重要性は、検索意図が明確でないユーザーにもリーチできる点にあります。ユーザーの興味関心を捉え、「偶発的な発見」を促すような高品質なコンテンツ、特に視覚的に魅力的なメディアや話題性のあるストーリーは、Discoverでの露出増加に繋がりやすいでしょう。
未来のSERPが「多様性」を重視するという見解は、コンテンツ戦略を考える上で非常に重要です。ゼロクリックマーケティングへの適応は、もはや避けて通れない課題であり、直接的なクリックを目的とするだけでなく、ブランド認知の向上、ユーザーエンゲージメント、AIシステム内での情報源としての信頼性確立など、新たなKPIを設定し、長期的な視点でコンテンツの価値を測る必要があります。
AI Modeのサブスクリプションモデルへの移行は、AIサービスの計算コスト高騰に対応するための現実的な解決策と言えます。コンテンツ提供者にとっても、AIの要約機能によってトラフィックが減少するリスクがある中で、Googleがサブスクリプションモデルを強化することは、将来的な収益源の多様化を検討するきっかけとなるでしょう。
- 掲載元: Search engine journal
- 公開日: 2026-06-10T11:00:35+00:00
