概要
HubSpotのカンファレンス名変更は、従来のファネル上部(TOFU)トラフィックに焦点を当てたSEO戦略からの大きな転換を反映しています。現代の検索はゼロクリック環境に近づいており、現在約60%の検索はウェブサイトへのクリックなしで終了しています。
ユーザーの発見レイヤーが変化しました。現在、購入者は従来の青いリンクをクリックする前に、ChatGPT、Perplexity、GoogleのAIモードなどのLLM内で直接ベンダーを調査しています。アトリビューションは「ダーク」化しており、購入者のジャーニーは断片的です。購入者はAI検索で選択肢を絞り込み、検証のためにGoogleでブランドを検索し、購入準備ができた段階で初めてウェブサイトを訪問します。
2018年にはSEOの成功を示していた指標は、今日のレポートを歪めています。そのため、コンテンツの成功を測る主要な先行指標として、トラフィックベースのレポートに固執するのをやめるべき時が来ています。トラフィックの追跡を完全に止める必要はありませんが、マーケティングリーダーシップに提示するトラフィックの種類を根本的に変える必要があります。
問題はオーガニックトラフィック自体ではなく、そのフィルタリング方法にあります。業界のコンセンサスは、「トラフィックは時代遅れではないが、意図や収益から切り離されると危険なほど不完全である」という中間的な見方にあります。オーガニックトラフィックは悪い指標ではありませんが、単独のKPIとしては非常に不適切です。
全体的な訪問者数の減少は、適切な種類の訪問者を切り捨てているのであれば、必ずしも危機ではありません。例えば、低意図の情報系コンテンツを削減し、高意図のサービスページに注力することで、全体的なトラフィックが20%減少しても、オーガニック収益が30%増加する可能性があります。サイト全体の訪問者数は減っても、コンバージョンする顧客が増えるためです。
AI検索はファネル上部(TOFU)トラフィックをまさに破壊しています。ユーザーは、基本的な定義の調査、単純な機能比較、用語集の閲覧などを、AIのインスタント回答、Redditスレッド、TikTok、LLMで行うようになっています。一般的で同意が得られやすい情報系のトラフィックは、ほぼゼロになるでしょう。
今後は、AIが容易に複製またはバイパスできない、実際の「流通の堀」(高意図の取引ノード)にレポートを絞る必要があります。オーガニックトラフィックのレポート対象とする価値のあるページは、以下の4種類のみです。
ホームページ:AIサマリーがブランドを推奨する際に、ユーザーは提供されたリンクをバイパスし、直接ブランド名を検索することが増えています。
料金ページ:購入者が取引を完了する準備ができたときに訪問するページです。
製品・ソリューションページ:消費者が最も高い信頼と確信を持ってタスクを完了する場所です。
マネーコンテンツページ:非常に具体的なデモランディングページ、オリジナル調査レポート、およびパイプラインや購買意思決定に影響を与えるファネル下部のコンバージョンポイントです。
AI検索とGoogle検索、ダークファネルによるB2B購買者のジャーニーは以下の通りです。まずAI検索で広範なクエリ(例:[best cx ai solutions that support agents in real time])を使って発見し、次にGoogle検索で比較コンテンツやレビューで検証を行い、最後にダークファネル(ブランド検索から直接料金ページやデモリクエストページへ)でコンバージョンに至ります。
アトリビューションが「ダーク」化している現代において、100%正確な線形クエリデータをレポートしようとすることは時代遅れです。Googleの匿名化されたクエリやLLMのアトリビューションブラックボックスがあるため、正確なクリック数を追うのは無意味です。
新しいレポートフレームワークは、「方向性を示すもの」であるべきです。すべてのクリックを追いかけるのではなく、ビジネスインパクトを証明するマクロトレンドと変化を特定する必要があります。これに対応するため、ダッシュボードには2つの構造的な変更が必要です。
クエリレベルではなくページレベルのレポート:変動の激しいクエリ順位ではなく、ページレベルの健全性とトレンドに焦点を移します。収益と主要イベントを高意図ランディングページに直接紐づけることで、ビジネス価値を推進しているものを把握できます。
AIプロキシとしてのブランド検索:GeminiやPerplexityなどのLLMがブランドを推奨する場合、ユーザーは引用リンクをクリックせず、新しいタブを開いて直接ブランドを検索することが多いため、ブランド検索量や直接トラフィックの増加を追跡することが、オフサイトのAI可視性を測定する優れた代理指標となります。
マーケターが直接コントロールできるインプット指標と、AI可視性を測定するための結果指標を再定義することで、説明責任を果たすことができます。
インプット指標には、トピックカバー率、内部リンク最適化を伴うトピッククラスター、他のチャネルでのアセットのプロモーション、コンテンツ更新の速度、新しいコンテンツ形式での展開が含まれます。
新しいSEOのKPIとしての結果指標は以下の通りです。ブランド検索量またはブランドクリック数は、AI検索成功の最も強力な代理指標です。自己申告型アトリビューション(「どこで知りましたか?」の選択肢に「AI検索/ChatGPT」を追加)や、LLMからの参照セッションと主要イベントコンバージョンも重要です。
さらに、信頼できる第三者カテゴリカバー率(「最高のXソフトウェア」リスト、アナリストレポート、レビューサイトでの存在感と評価)も、LLMが回答を構築する上で大きく依存しているため重要です。
経営層にSEOの焦点が変化したことを伝えるには、まずサイトページのインベントリを作成しセグメント化します。その後、現在のダッシュボードを監査し、バニティメトリクスを段階的に廃止します。クリック数やインプレッション数に加えて、意図別にセグメントされたトラフィックや新しいAI可視性代理指標をゆっくりと導入し、数回のレポートサイクルを経て新しい指標へと移行します。
この変更がなぜ必要なのか(AI Overviews、ゼロクリック結果、ダークSEOファネルに対応するため)を透明性をもって説明することが重要です。
解説
このブログ記事は、現代のSEO戦略においてオーガニックトラフィックの測定方法を根本的に見直す必要性を強く訴えかけています。特にAI検索(LLM)の台頭により、ユーザーが情報を得る行動が大きく変化している現状を理解することが出発点となります。
従来のSEOでは、ファネル上部(TOFU)コンテンツによるトラフィック量が重視されてきましたが、AIが基本的な情報提供の役割を担うようになった現在、その価値は相対的に低下しています。例えば、製品の定義や簡単な比較はAIが即座に回答するため、ユーザーはわざわざサイトを訪問しなくなりました。
この変化に対応するため、マーケターは高意図のページ、つまりコンバージョンに直結する可能性が高いページに焦点を当てるべきです。記事で挙げられているホームページ、料金ページ、製品・ソリューションページ、マネーコンテンツページは、ユーザーが購入意図を持って訪問する可能性が高い「流通の堀」としての価値があります。
アトリビューションの「ダーク化」は、SEO担当者にとって大きな課題です。直接的なクリック経路が不明瞭になる中で、ブランド検索量や直接アクセスの増加をAIからの可視性の代理指標とすることは非常に実践的なアプローチです。これにより、AIがブランド推奨に貢献しているかを間接的に評価できます。
また、SEOチームの評価基準も変化させるべきです。インプット指標に焦点を当てることで、マーケターは直接コントロールできる行動に対して責任を持つことができます。例えば、複雑なトピックカバー率や内部リンク最適化、コンテンツの定期的な更新などは、AI時代においてトピックオーソリティを築き、ブランドの信頼性を高める上で不可欠な要素です。
新しい結果指標として提示されている「自己申告型アトリビューション」は、AI検索からのコンバージョンを直接的に把握するための現実的な方法です。問い合わせフォームなどに「AI検索/ChatGPT」といった選択肢を加えることは、現在のAIアトリビューションの不確実性を補完する有効な手段となるでしょう。
経営層へのレポートにおいては、単にトラフィックの増減を報告するのではなく、ビジネスインパクトに直結する収益やリードの質に焦点を当てることが重要です。AI Overviewsやゼロクリック結果といった現代の検索環境の変化を積極的に説明し、それに合わせてSEO戦略と評価指標を進化させていることを示す必要があります。これは課題の認識だけでなく、未来志向の戦略を提示することに繋がります。
- 掲載元: Search Engine Land
- 公開日: 2026-05-22T14:00:00+00:00
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Organic traffic is still worth tracking — just not all of it