SEO最前線

SEOコンサルタントが最新のSEO情報をお届けします

「Google Zero」が捉えきれない本当の問題:次の訪問者は人間ではない

‘Google Zero’ misses the real problem: Your next visitor isn’t human

概要

検索トラフィックの減少を問題視する「Google Zero」の議論に対し、筆者は、より根本的な問題は「次にウェブサイトを訪れるユーザーが人間ではない」ことだと指摘します。

Barry Adams氏が「Google Zeroは嘘である」と主張し、トップサイトへのGoogleトラフィックがわずか2.5%の減少に留まっているというデータ(Similarweb、Graphite)を示したことは正しいとされています。しかし、これは問題の本質を見誤っていると筆者は述べています。

真の変化は、ウェブトラフィックにおける人間とボットの比率にあります。2025 Imperva Bad Bot Reportによると、ボットがウェブトラフィック全体の51%を占め、10年ぶりに人間活動を上回りました。また、Cloudflareの2025年年間レビューでは、AIクローラーがすべてのクローラートラフィックの51.69%を占め、従来の検索エンジンクローラー(34.46%)を上回ったと報告されています。AIボットのクロールは前年比で15倍以上増加し、AkamaiのデータもAIボット活動が300%急増したことを示しています。

特に注目すべきは、AIボットの「クロールと参照の比率」です。AnthropicのClaudeBotは1回の参照を送信するために23,951ページをクロールし、OpenAIのGPTBotは1,276ページをクロールします。これに対し、従来のGooglebotは「クロールしてトラフィックを返す」モデルで機能しており、AIシステムよりも831倍もの訪問者を送り返しています。AIボット活動の約80%はモデルの学習のために費やされており、ウェブサイトへのトラフィック誘導はほとんどありません。

Google自身の検索結果でさえ、この傾向が顕著です。AI Overviewが表示されるクエリでは、オーガニッククリック率が58-61%低下することがAhrefsとSeer Interactiveの調査で明らかになっています。また、GoogleのAI Modeでは93%のゼロクリック率がSemrushのデータで示されています。さらに、AIが引用する情報源も変化しており、Google.comがAI Modeの引用元のトップ(17.42%)を占め、他のGoogleプロパティを含めると約20%になります。

さらに大きな波として、人間の代理として行動するAIエージェントの台頭があります。Gartnerは、2026年までに従来の検索エンジントラフィックが25%減少すると予測しており、2028年までにB2B購買の90%がAIエージェントを介すると見ています。Salesforceの報告では、2025年のサイバーウィーク中にAIエージェントが全世界の注文の20%に影響を与え、670億ドルの売上をもたらしました。これらのAIエージェントは、ウェブサイトの見た目ではなく、構造化データなどを読み取り、情報を比較して決定を下すため、ウェブサイトへの「訪問」がアナリティクスに現れないか、ゼロ秒セッションとして記録される可能性があります。

解説

本記事が指摘する「Google Zero」議論の本質は、Googleからの検索トラフィックの増減ではなく、ウェブ上の「訪問者」の性質が根本的に変化しているという点にあります。人間の代わりに情報を収集し、購買決定を下すAIエージェントAIクローラーの存在は、これまでのSEOの常識を大きく揺るがします。

この「Agentic SEO」と呼ばれる新しい時代において、重要な最適化ポイントは多岐にわたります。まず、構造化データ(Schema markup)は、もはやリッチスニペット表示のための「あったら良いもの」ではなく、AIエージェントがコンテンツを正確に理解し、比較検討するための「基盤インフラ」となります。製品、サービス、FAQ、組織に関するスキーマが完全に、正確に、最新の状態であるかを確認することが不可欠です。

次に、コンテンツは単一のキーワードではなく、「月額50ドル以下でQuickBooksと連携し、オフライン機能付きモバイルアプリがあるCRMはどれか?」といった複合的な質問に答えられるように設計する必要があります。AIエージェントは、より具体的で多変数なクエリを処理するため、そのニーズに応えられなければ、コンテンツは「見えない」存在になってしまいます。

また、情報の鮮度と正確性は、以前にも増して重要です。人間が見過ごすような古い価格情報も、AIエージェントは競合他社のデータと照合し、不一致を即座に指摘します。これがビジネスチャンスを失う原因にもなりかねません。

robots.txtの決定も、純粋な技術的設定からビジネス戦略へと変わります。AIクローラーをブロックすれば、コンテンツがモデル学習に使われるのを防げますが、同時にAIエージェントによる推奨の機会も失います。逆に許可すれば、トラフィックが保証されないままコンテンツを提供することになります。これには明確な正解がないため、経営陣との協議を通じて、トレードオフを理解した上で意識的な決定を下す必要があります。

最後に、現在の計測ツールにはギャップがあります。Google Analytics 4(GA4)は多くのボットトラフィックを除外するため、サーバーログを確認し、GPTBotやClaudeBotなどのAIユーザーエージェントを特定して、非人間トラフィックの割合を把握することが重要です。AIエージェントがウェブサイトを評価した結果、オフラインで購買に至ったとしても、それを直接計測することは現状困難です。従来のGoogleからのオーガニックセッション数だけで判断すると、AIエージェントがもたらすビジネスチャンスやリスクを見逃す可能性があります。Google SEOは引き続き重要ですが、それに加えてAIエージェントへの最適化という新しいレイヤーが加わったと認識することが、これからの時代を勝ち抜くための鍵となるでしょう。


  • 掲載元: Search Engine Land
  • 公開日: 2026-04-01T12:00:00+00:00